with コロナ時代のライブ観覧記録

2020/7/17-18に新木場スタジオコーストで開催されたヴィジュアル系バンドNIGHTMAREのライブ "DARKNESS BEFORE DAWN"に関する記録です。

⑤アーティスト・主催者・会場への提案、おわりに

NIGHTMARE 20th Anniversary Live
"DARKNESS BEFORE DAWN"
2020/7/17, 7/18
新木場STUDIO COAST


【アーティスト・主催者・会場への提案】
いち観客の意見ですが、今後のライブ開催時には業界団体や会場独自のガイドラインを大前提として『今回の公演ではこうしましょう』という線引きを、ある程度詳細に定めてもらえると大変ありがたいなと感じました。
観客はその制限の範囲内で最大限楽しむことで新しいスタイルのライブがいっそう盛り上がりますし、その制限では不安がある方は現地に行かないという選択を取りやすくなるはずです。

観客目線では、たとえば以下のようなケースが挙げられます。


①ヘドバン、メンバーコールや合唱
他のジャンルであれば、歌舞伎の大向こう(「中村屋!」)やヲタ芸なども。
今回アナウンスがあったのは『座席を離れなければその場で立って観覧可、マスク越しであれば発声可』という内容でした。
ガイドラインの要件を満たす内容ではあるのですが、新型コロナウイルス飛沫感染が感染経路のひとつと考えられていますので、この解釈はお客さんの間でも分かれるところだと思います。
ジャンルやアーティストによってライブの応援の形式は異なるため、さらに掘り下げた内容を各公演で示していただければ、観客側の混乱も少なくなるように感じました。
(たとえば『大声での発声はマスク及びフェイスシールド併用時のみ可』『頭を振る行為は控えてください』など)


②指定席公演における座席交換
今回のライブは全席指定で、入場者の氏名および連絡先を主催側が把握したうえで開催されました。
中規模以上の会場においてこの方法は、万が一新型コロナウイルス感染者が出た場合に、それが会場内のクラスター感染なのかあるいは複数の孤発例なのかの絞り込みを容易にできるメリットがあります。
一方で、本命(=『推し』のバンドマン)がよく見える場所でライブを見たいと思うのがファンの心情で、今までの指定席公演では座席の交換が頻繁に行われてきました。
感染者の申告を踏まえ結果的に座席位置が把握できればよしとするか、主催者側があらかじめ指定した座席での観覧を必須とするかについて、スタンスを事前に明らかにしておいたほうがよいのではないかと思います。


③ランダムグッズ販売・トレーディング行為
多くのアーティストではガチャガチャやカードといったランダムグッズが物販のラインナップに並び、SNSでは交換募集が飛び交います。
ランダムグッズって楽しいんですよね、たとえお目当てのメンバーが出なくても。
ただ、この交換行為が盛んであればあるほどお客さん同士の接触機会が増え、感染拡大リスクの上昇に繋がる可能性があります。
グッズ販売にはライブの大きな収入という側面があるため中止することはまず不可能ですが、ランダム商品の廃止や手渡しによるトレーディング行為の禁止など、なんらかの規制を設けることも検討課題に含めたほうがよいのではと思います。
(ただ、手渡しでのトレーディング行為禁止のアナウンスがあっても、こっそりやる人は一定数いるんですよねえ…それはもう客側の良識の問題です)


すべてをガチガチに固めてほしいという意図はなく、主催者側はリスクとベネフィットのバランスを考えながらイベントを開催し、観客側もできうる限りの対策をとって参加すること(或いは、不参加を選択すること)がイベントの成功に繋がるのではないかというのが私の考えです。
開催規模が大きくなればなるほど多くの人が関与してきますので、何かを決めることは責任問題もあり大変難しいのかもしれません。
ただ、今後もwith コロナのエンタメ興行を成功させていくために検討課題のひとつとしてもらえたらいいなと思い、いちファンの意見を書かせてもらいました。


【おわりに】
今回、アーティスト側もセットリストや演出の面で苦労したり、ステージから見たフロアが異様な光景だったり、いつも楽しみにしていたケータリングが味気ないお弁当に変わってしまったりと、今までとは何もかもが違う環境でライブをすることへの不安や戸惑いは図り知れないものだったと思います。ストリーミング配信だってタダでできるものではありませんし。
会場の新木場STUDIO COASTも万全の感染拡大防止策を取られていて、大変な苦労が偲ばれました。

でも、そのような中でも今回のライブを企画・開催してくださったことに、本当に感謝の言葉しかありません。
会場外のボードに書かれた公演名を見た瞬間の嬉しさ、This is Halloweenが流れた瞬間の高揚感、着席していた皆が立ち上がった瞬間、鳴り止まない拍手、私にとってはすべてが忘れられない場面です。
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ライブは終了しましたが、ここからの数週間が正念場だと思っています。
考えたくもありませんが、NIGHTMAREというバンド名になぞらえて「クラスター発生の悪夢」などと面白おかしく書かれてしまうかもしれません。どうにか立て直そうとしているライブハウスやイベンター、アーティストにとって致命傷になってしまう可能性だってあります。ライブに行った私達が社会的に窮地に立たされてしまうかもしれません。悲しいですが、これがクラスター感染が発生してしまった時の現状です。

幸いにも私は在宅メインの仕事をしているため、こまめに体調確認をしつつしばらく自宅に籠城する予定です。
NIGHTMAREのメンバーの皆様、スタッフの方々、会場で或いは配信で素敵な時間を共有したファンの皆様や周りの大切な人達、全ての皆様の健康を願っています。

いつかまた、笑顔であふれたライブハウスに集まれますように。